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アコースティックギターで世界を奏でる―"多才"かつ"多彩"な男、Justin Kingとは

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まずはこの動画を見てみて下さい。



僕がこの動画を見たのはまだアコースティックギターに触れて間もない頃だったのですが。
当時の感想は兎にも角にも、「なんだこのかっちょええのは」という感動。
と同時に、「一体何がどうなってるんだ…」という驚き。


漠然と弾き語りをやろうかどうしようかとギターを抱えて悩んでいた僕でしたが、この曲をきっかけにグっとアコースティックギターのソロ演奏の世界へと引きずり込まれていきました。



彼の名をJustin Kingと言います。


多彩な世界を内に持つギタリスト - Justin King

1979年、アメリカはアラスカ州、パーマー生まれ。

彼が楽器に触れたのは13歳の頃、90年代のグランジバンドに影響を受けエレキギターを始めます。
ベースやドラムスも手掛けバンドサウンドに身を投じていた一方で、父のレコードを聴きアコースティックな音楽への関心を深めていきます。

その後、19歳でアコースティックギターを始めると同時に作曲を行うようになります。
アコースティックギターにおいてはコピーをしたことは無く、他のアコースティックミュージシャンの音楽に影響を受け、それをアウトプットする形でオリジナルの曲を演奏することに重きを置いていたようです。

ソロ活動がメインとなってから、2001年にはヨーロッパ各地を旅し、フラメンコ音楽ケルト音楽を取り入れた自身の代表作となる”Le Bleu”を発表します。




彼の個性あふれる様々な楽曲が収録されたこのアルバムですが、中でも記事のトップに記載したPhunkdifiedと、下に載せたKnock on woodYouTubeでの動画が有名になり、とても人気のある楽曲です。



これらの曲だけを見聞きすると「特殊奏法を駆使した超絶技巧系のギタリストなのか?」と思ってしまいがちなのですが、僕としてはジャスティンキングの魅力は、それらの難しい弾き方の中にも埋もれない美しいメロディーラインや全体の響き、そしてそれをしっかりと主張出来るフィンガーピッキングのテクニックにあると思います。



例えばこのParis Morningという曲。
アイリッシュで言うエアーのような雰囲気のある、リズムにとらわれないもの悲しげなメロディーから始まりますが、曲が進むにつれてベースやコード感が出てきて曲全体に盛り上がりと広がりが生まれていきます。

先ほどまでのテクニカルで激しい曲を演奏していた人とは同一人物とは思えないほどの繊細さを随所に感じます。


ちなみにこれらのチューニングはすべてDADGADで演奏されています。
DADGADについては下記記事を参照して下さい。


musashiofficialblog.hatenablog.com


使用するギターには彼なりの強いこだわりがあるようで、メインで使用しているギターはポールリードスミスKalavinkaのギターに落ち着いたらしいのですが、過去にはMartinやGibson、はたまたLowdenやTaylorなども使用していました。
更には特注のダブルネックアコースティックギター(両ネックともDADGADチューニング)というとんでもなくトリッキーなものまで扱っていました。



Le Bleu発表後

彼はLe Bleuを収録したイギリスのスタジオに影響を受け、アメリカ帰国後に自身のレコーディングスタジオを設立します。

2008年には自身のスタジオで収録した”I-XII"を発表。
バンドでのレコーディングを行ったアルバムなのですが、エレクトロなサウンドに仕上がっており、自身がかつてソロで行っていた楽曲もバンドアレンジされたバージョンで収録されていたりと彼のファンにはとても楽しい作品に仕上がっています。

その頃からソロ活動以外にも改めてバンドや、他アーティストとのコラボレーション等自身の演奏の幅を積極的に広げていきます。

その一方で、音楽業界が嫌になってしまう事も一時期はあったようで、2007年からはフォトジャーナリストとして活動を始め、翌年にはオレゴンの部隊と共にイラクの戦場へ出向いたり、時にはハイチの災害をカメラに収めたり等、イギリスのBBCでも取り上げられるほどにカメラマンとしての活動を行っていました。



その後、また音楽業界に戻ることになるのですが、彼の音楽性はそういった様々な国への旅であったり、戦争地へ赴いた時の経験だったりと、とても多彩な世界や視点を昇華させたものなのだなと感じます。

今現在も新たな事への挑戦のため勉強中との事。
それもまた彼の音楽性への糧になるのだと思うと今後の作品にも期待せざるを得ません。


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